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中国四姑娘山自然保護区管理局 大川様からの状況報告

つれづれモノ申 りぃん様から転載です。

TSNJ MLより、四川省の震源にほど近いギャロンという地からの状況報告です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・これよりMLからの転載文

カム(東チベット)の中でも独特の文化を保持するギャロンの状況が昨日(5月16日)メールで届きましたので以下に転載します。

ギャロンは、何かと話題の臥龍パンダ保護センターから巴郎山口(峠)を超えたところにあり、
四姑娘山や石積みの楼や美人谷で有名になりつつある地域です。
http://tibet.cocolog-nifty.com/blog_tibet/2004/12/post_6.html

ギャロンは古くは東女国として栄えていた地域で、言語も、カム語ともラサ語とも異なり独自の文化を保っています。
東女国の頃から信仰の対象とされてきたギェルモロン
(=ギャロン・メルト)山は今も信仰登山の対象です。

メール発信者の大川さんは、現地の自然と人に惚れ込み、
四姑娘山の登山口となる日隆に住み、持続可能な自然観光開発に尽力されています。

なお、文中にある「文川」は今回の地震の震源地のことで、
正しくは「三水ヘン+文」+川です。
また、写真はMLには添付できないため以下にアップ
しています。
http://photos.yahoo.co.jp/bonno107 の「ギャロン」
アルバムをご覧下さい。


<以下転載です>

中国四姑娘山自然保護区管理局の大川健三です。

四姑娘山では停電が続きE-mailを使えないため、
雨が上がって道路の落石が治まった昨日、
50km下流に在る小金の町に出て来ました。

当地の状況を判る範囲でお知らせします。
なお情報源と状況解釈に偏りがあるかも知れませんので、
取り扱いにご注意下さい。

また新しく出来た水力発電用ダムについては
震源地の場所を説明しているだけで、
地震の原因に結び付けている訳では有りませんのでご理解下さい。

1.地震の状況

 (1)震源地5月12日14:30過ぎ、岷江下流に新しく
  出来た大きな水力発電用ダムの周辺(文川県南部)を
  震源地にして大きな地震が起き、震源地周辺は強い
  揺れに拠る建物崩壊と山崩れで全滅状態になりました。
  また岷江流域で震源地南側の都江堰市や北側の
  白川地方等でも大きな被害が出ました。
  この状況についてはテレビで詳しく報じられています。

  震源地は文川県南部の映秀(臥龍と四姑娘山への分岐点)
  ~都江堰市の間に当たり、ダム建設による岷江の
  水位上昇に合わせて道路が作り直されトンネルも
  3つ掘られた場所です。

  同時にこの道路に連接する新しい道路や他のトンネルも
  震源地付近で建設が続けられています。
  今回の地震では前述の3つのトンネルの内の一つと
  映秀に掛かる橋が崩壊したと伝えられていますが、
  建設中の部分の被害については不明です。

  道路の復旧にはこれらの修復は勿論、崩壊してない
  区間の内部破壊や設計安全係数や施工品質の検査が
  必要なため、復旧作業は長期化しそうに思われます。

 (2)四姑娘山の日隆は岷江西側の分水嶺で隔てられた
  震源地の西側60km位に位置しています。震源地が
  四姑娘山を挟んで隣接しているため日隆では大きな
  揺れが有り、石積み民家が半壊したり壁や石垣が
  崩れましたが死傷者は出ませんでした。

  また長坪溝や双橋溝の奥では氷河が崩れ雪崩や岩崩れが
  起き、川沿いや山の斜面では所々で小規模な地割れも
  起きました。

  しかし海子溝や長坪溝の本道では大きな被害が
  無いです。一方、枝谷では岩崩れで道が塞がったり
  唐松林が岩崩れでなぎ倒されたりしています。
  犀牛海子への道で土砂崩れが発生している可能性が
  有りますが問題なく通れるでしょう。

  羊満台のモレーン下で岩崩れが発生していると
  通れなくなる場合が有りますので、余震が治まった
  時点で調査する事にしています。

  双橋溝の道路は落石のために一部区間が不通になり
  ましたが、近日中に開通するそうです。

  日隆の発電所は地震で壊れ修理に膨大が費用が
  掛かるため復旧に日数が掛かるそうで、臥龍経由で
  供給されていた文川県の電力も絶たれているため、
  長期間電気の無い生活が強いらるかも知れません。

  地震の後、日隆では雨が降ったり止んだりして更に
  地盤が緩み、時々大きな岩が落ちて来て谷間にこだま
  していましたが、15日になって晴れ落石は治まり
  ました。

  当地の歴史書に拠ると、日隆では18世紀中期の
  金川戦役以後100数10年ぶりの大きな地震で誰も
  経験した事が無く、多くの村人が強い恐怖を感じて
  います。

 (3)四姑娘山の周辺 
  ①巴郎山の崖崩れや落石は小規模で短期間に復旧する
   そうですが、震源地に近い臥龍の区間で修理中の
   道路や橋の被害が深刻なようで電話も未だ繋がり
   ません。
  ②夾金山の崖崩れや落石も小規模で短期間で復旧する
   そうです。
  ③日隆から小金へ行く途中30km位の場所で地盤が弱い
   急な崖が続いていて、この周辺で落石や崖崩れが
   集中して起きました。
 
   地震が起きた時、折り悪く私は小型バンに乗って
   この場所を通っていて子供の頭位の大きさの落石の
   一つに直撃されましたが、運良く助手席の窓と
   その後ろの窓の間のフレームに当り怪我せずに
   済みました。

   しかしこの時、近辺で2人の村人が落石のために
   亡くなったそうで、他の場所でも落石による死傷者が
   少し出たそうです。

   なおこの落石や崖崩れは数が多かったものの一つ
   一つの規模が小さかったため、その日の内に道路は
   復旧しました。

   今私が居る小金の町は日隆の東側50km位に有り、
   殆ど被害は出ていません。

  ④小金よりも更に東側50km位に位置する丹巴県では
   山上の一部の民家で被害が少し有った程度です。
   大渡河沿いの急な崖が続く道路では落石や崖崩れが
   起きましたが、殆ど復旧しています。

  (4)余震
  新しく出来た大きなダム周辺で起きた地震のため、
  ダムの水が断層に浸透し続けているらしく、日隆では
  小さいながらも未だに毎日数回の体感できる余震が
  続いています。

2.長坪村の被害と生活状況  
  
  半壊したり壁や石垣が崩れた民家の被害は地盤が弱い
  長坪村に集中しています。
  それも殆ど2階部分で、昔ながらの建築方法に弱さの
  問題が有るようです。
  つまり、1階は壁厚60cm位で丁寧に石を積みますが、
  2階は厚さが減り石の積み方が雑になる傾向が有り
  ます。
  更に石を泥と小石で固めながら積んでいるため、
  大きく揺れた時に家の四隅に集中する応力に耐えられ
  ないようです。
  それに対して鉄筋コンクリートの柱を使った家は少し
  ヒビが入った程度の被害で済んでいます。
  現在の四姑娘山の民家の建築基準では外壁を石積みに
  する事になっていて鉄筋コンクリートを使い辛いため、
  この建築基準を見直す必要が有りそうです。
  余震が治まらないため日隆、特に長坪村の人は壊れた
  家の整理もままならず、家の外でのテント生活を
  続けています。

  村の人は命が助かった事を喜び表情が比較的明るい
  ですが、一方で家を修理するための資金に苦しんで
  おり、政府の援助を待っています。また学校は休みで
  子供達は家の仕事を手伝っています。電話回線は
  半日位だけ通じています。

  停電が続いておりガソリンも販売中止なので、村に
  1台だけ有る自家用発電機は一部の携帯電話の充電と
  少しだけテレビのニュースを見るためだけに使って
  います。

  ガソリンが無いタクシーが多く、丹巴でガソリンを
  買って来たり特別なコネでガソリンを入手した一部の
  タクシーだけが走っています。そのため料金は2倍に
  なっています。食糧品店も閉まっていますが、
  村の人は小麦粉やジャガイモや乾し肉や漬物等を
  普段からストックしているので今の所困っていません。

  四姑娘山の村人が本気で心配している事は、
  今回の地震のために観光客が2~3年来なくなって
  10年前の貧しい生活に戻るのではないかという事です。

  村人は今年も多くの人が四姑娘山を訪れてくれるよう
  願っています。

  長坪村の様子を伝える写真を添付しましたので
  ご参照下さい。

  長坪村1:
   地震が起きた翌朝、避難したテント場で不安な表情を
   見せる村人達

  長坪村2:
   壊れた家の傍に建てられた小屋

  長坪村3:
   命が助かったので壊れた家の前で比較的明るい表情を
   見せる父娘と従姉妹達

  長坪村4:
  テレビを外へ持ち出し自家用発電機に繋いでニュースに
  見入る村人達。

付け足しの話ですが、地震のために四姑娘山で孤立した
米国人旅行者2人が成都の米国領事館と連絡を取り、
管理局の車で成都まで送られて行きました。
昨年秋に米国人登山家が甘孜州で遭難した時も当地の政府の
対応は丁寧で、今更ながら彼らが米国人である事を羨ましく
思いました。

3.道路の復旧見込み成都→臥龍ルートは完全に不通で
 復旧に2ヶ月位掛かるそうです。
 開通すれば路線バスで7時間です。

 成都→夾金山ルートも不通ですが、こちらは近日中に
 道路上の落石等を片付けて通れるそうで、それに合わせて
 路線バスも運行を始めるそうです。
 路線バスで10時間です。

 成都→丹巴ルートは大渡河沿いの崖道が落石で数日不通で
 したが、今日から小型車やトラックが通っています。
 路線バスは未だ運行を見合わせています近日中に運行を
 再開するそうです。
 タクシーと路線バスを乗り継いで12時間です。

以上、取り急ぎお知らせします。

<以上引用終わり>

<ご参考>
情報発信者の大川様の活動されている
四姑娘山自然保護区のサイトです。

http://www.sgns.gov.cn/scholaweb/conts-j.htm

↑このURLはリンクが切れています。(どうしたんだろう)

りぃんさん、情報、ありがとうございます。
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